安寺は京都を代表する観光名所として知られており、国内だけでなく、海外からも多くの観光客が訪れることで知られている。多くの拝観者の心を掴んで離さない庭園は、幅25m、奥行10mほどの敷地に白砂を敷き詰め、15個の石を5か所に点在させたシンプルな庭である。室町幕府に仕えた相阿弥の作庭と伝えるが、作者、作庭年代、表現意図ともに定かではなく、禅宗が盛んだった当時の時代背景を色濃く残している。
山水の庭園は最大の見どころであり、謎とされているのが、庭をどちらから眺めても、必ず1個は他の石に隠れて見えないように設計されているというが、この程度の面積の庭に15個の石を並べれば、そのうちの一つは隠れて見えなくなるのは当然ではないかという意見を見かけることもあり、なんとも興味深い庭である。
